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Project Story

1都3県外出身の志願者を増やし、
より多様性ある上智大学をつくる。

目指すは、全国の学生が集まる上智大学。
エリア戦略に基づくプロモーション始動。

国内外から学生・教職員が集う上智大学の特長の1つである「多様な教育環境」。この特長を一層伸ばすべく、さまざまなバックグラウンドを持つ志願者を募りたいと考えていた職員たちは、ある課題に直面していた。それは志願者の多くが1都3県の出身者に集中しており、その他の地域出身者が少ないということ。そこで、データ分析により導きだされた注力すべきターゲットエリアを対象に、IR推進室、広報グループ、入学センターが協働して「エリアプロモーション」計画を立ち上げる。1都3県外における上智大学の認知を高め、より幅広い地域から志願者を募る、上智大学のダイバーシティを推進するプロジェクトが始動した。

Iさん

学事局 入学センター
中途入職29年目

Aさん

総務局 広報グループ
中途入職14年目

Kさん

IR推進室 兼 総務局 広報グループ
中途入職9年目

Road Map
01

企画立案

データ分析を通じ、大学進学を目的に東京にやって来る人が多いにもかかわらず、上智大学を志願する人が少ない地域を割り出し、ターゲットエリアとして選定。現地のステークホルダーとの連携や、ミニ・オープンキャンパスを開催する計画を立案。

02

準備

ミニ・オープンキャンパスで実施するコンテンツを設計し、その地域にゆかりのある教職員や学生に協力を依頼。フライヤーなどを制作したり、エリア特化型の各種広告を活用するなどして事前告知を実施。現地訪問も複数回行い、各地域の情報やニーズの把握、地元に根差した情宣方法の検討等を行った。

03

イベント実施

初年度は長野・新潟・栃木の3県で、翌年は宮城・栃木・茨城の3県でイベントを開催。教員による模擬授業のほか、参加者が地元出身の在学生たちとコミュニケーションを取れる機会を提供し、参加者の高い満足度を実現。

04

効果検証

取り組みの成果として対象エリアの志願者数増加の兆候が表れた。また、現地メディアや高校、予備校等と連携することで得られた知見や、効率的な広報活動のノウハウを獲得し、今後の広報活動の基盤を築く。

上智大学の認知度を高めるとともに
真の魅力を伝えるプロモーション

上智大学では、志願者数を増加させるとともに、現状では志願者の少ない1都3県外出身の学生を増やすことで、多様性をさらに深めることを目指していた。2022年、学内外のデータ分析を担当するIR推進室のKは、この課題を解決するべく分析に取り組んだ。「まずは都内の他大学の状況を調べたところ、上智大学と同じように1都3県出身者が多いことがわかりました。これは人口分布の兼ね合いから当然と言える部分です。次に、東京の大学に進学する人数が多いわりに、上智大学を志願する高校生の人数の少ない地域を調べたところ、北関東や甲信越地方が該当すると分かりました。そこで、この地域をプロモーション強化すべきエリアとしたのです」。

こうしてエリアプロモーションプロジェクトが始動する。主要メンバーの一員である広報グループのAは、データ以外にもエリア選定の基準があったと言う。「例えば、特定の県紙やTV局など、地元メディアが強い影響力を持つ地域は情報を拡散しやすいので、有力な候補地になります。Kさんが分析したデータをもとに、広報の視点も合わせてエリアを選定しました」。

このエリアプロモーション、上智大学の認知度を高めることはもちろん、上智大学の実態を知ってもらうことも大きな目的であった。入学センターのIは、普段から全国で上智大学の説明会に取り組んでいるが、「上智大学の名前は知っていても、実態は伝わっていないことがほとんどでした」。「上智大学と言えば、英語、留学、そして有名な女性アナウンサーが多いというのが、一般的なイメージのようです。都心から離れた地域ほど、多様性ある教育環境といった上智大学の魅力が十分に伝わっていないのが実情でした」。そこで、上智大学の本当の魅力を知ってもらうためのミニ・オープンキャンパスが企画されることになった。

参加者の目線に立ったコンテンツ設計と
オンライン・オフラインの事前告知

これまでに実施していた入試広報活動の主軸は、複数大学が集まる合同イベントや進学相談会に参加すること。上智大学への志望度に関係なく多くの学生に接触できるというメリットがある一方で、コンテンツが制限されてしまうため、魅力をアピールしきれない部分もあった。しかし今回は上智大学だけの独自プロモーションとなる。一からコンテンツを設計できるのだ。「学生の知りたいニーズに応えつつ、私たちの魅力が伝わるコンテンツを検討した」とI。教員が高校生に関心の高いテーマで模擬授業をしたり、地元出身で現役の先輩学生たちによるトークセッションと質問コーナー、1on1相談会などを計画していく。

一方、Aは東京に子どもを送り出す保護者の不安を解消する情報提供もこのプロジェクトには必要だと考え、保護者が特に気になる部分、具体的には奨学金・住まい・留学・就職という4つのポイントにフォーカスした保護者専用パンフレットを新たに用意した。さらにAは、コンテンツを実行する教職員や学生を集めるべく、実施エリアの出身者を中心に声を掛けるのだが、「出張も伴うし、口説くのに苦労するだろうと覚悟していたが、地元の高校生のためなら喜んで!と快く協力してくれる人ばかりで、とてもありがたかった。上智の学生や教職員には『他者のために、他者とともに』の精神が根づいている」とあらためて実感することとなる。

それと並行して、事前告知にも力が注がれた。独自プロモーションの告知なので上智大学の名前を打ち出せるという大きなメリットがある。この機会を最大限に活用したのだ。広報グループも兼務するKはオフライン・オンライン両方向から事前告知を設計する。まず、SNSやWeb上のデジタル広告の運用に取り組んだほか、新聞広告なども活用し、情報拡散に努めた。また、実施エリアの有力高校や予備校を巡り、フライヤーを配布。こうして秋のイベント開催が少しずつターゲット層に周知されていった。

各地域に根付いた工夫を凝らして
高い満足度を実現

メンバー総出の準備活動を経て、ミニ・オープンキャンパスは開催された。初年度は長野・新潟・栃木の3県で、翌年は宮城・栃木・茨城の3県で開催となった。新潟県出身の副学長が母校の高校で自ら模擬授業を行ったり、栃木県出身のKが現地イベントで司会を務めたりするなど、その地域を知っている人ならではの強みを活かし、参加者たちの関心を高める。「上智大学の良いところを一方的にアピールするのではなく、参加者に自分たちのためのイベントだと感じてもらえるよう、親近感が伝わるよう取り組みました」とA。

教員たちによる模擬授業では、社会科学や心理学といった学生に人気の高い科目を中心として、たくさんの参加者に楽しんでもらえるよう工夫を凝らした。また、現役学生たちが語るトークセッションでは、大学側からはNG項目を設けず、ありのままの思いを伝えてもらった。これには参加した高校生たちに「リアルな声を聞くことができて、とても参考になった!」と大好評だった。こうして参加者の高い満足度を実現したミニ・オープンキャンパスを、Iはこう振り返った。「上智大学を知ることができて良かったというポジティブな反応が多く、魅力を伝えることができた」。また、今の上智のリアルを伝えることを心がけていたというAは、「ほかの私立大学に比べて上智大学は若干小規模ですし、英語や帰国生のイメージが強く敷居の高さを感じていた方も多いようでしたが、上智で得られる学びの魅力や学生たちの様子など、実際の大学の雰囲気が感じられたことで、進学先の候補として検討してもらえるきっかけの場になったと思います」。

対象エリアからの志願者が少しずつ増え、
今後につながる情報とノウハウも獲得

2022年から始まった取り組みの成果として、対象エリアの志願者数には増加の兆候がみえている。しかし、メンバーが掲げる目標はまだまだ高いところにあるようだ。「当該エリアからの志願者数を、これから3年の間に3倍程度に増やしたいと考えています。そのためにも、継続的に取り組みを続けていきたいです」と語るI。

また、現地を実際に訪問することで知見が得られたと言うAは「高校や予備校の先生、それから地元メディアや代理店の方々など、さまざまな人とコミュニケーションを取り、各地域の詳しい進学事情やメディア事情について情報をキャッチできました。対象エリア在住の卒業生の方々からのアドバイスもありがたかったですね。それらを今後の広報活動に活かしていきたいと思います」。

広告に関してもさまざまなトライアンドエラーを重ねた結果、効率的な広告展開のノウハウを獲得できたと語るK。「この広告は効果が高かった、この広告は想定より効果が低かった、といった結果が見えたので、より効率的にターゲットにリーチし、志願者数増加につながる広告コミュニケーションを実行していきたいと思います」。

今回のプロジェクトの最終ゴールは、首都圏外の志願者を増やすことだけではなく、その先にある「多様性のある教育環境」をさらに進化させることだ。上智大学ならではのダイバーシティを、より広い地域で、より多くの人々に知ってもらう。それによって若者たちに自分らしく多様性のなかで活躍する力を根づかせ、ひいては社会にとってのより良い未来づくりにつなげることが、取り組みの本懐と言える。この大きなゴールに向けて、プロジェクトメンバーたちは今日も力強く歩みを進めている。